会計の全体像補足初心者必見!会計の全体像

【番外編】これだけ!会計士が会計の全体像を解説!【仕訳Bootcamp】

会計の全体像補足
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God dag!Lone Wolf会計士です。

会計の全体像についてのシリーズを投稿していますが、ここでは番外編として、「もう少し仕訳について詳しくなりたい!」という方向けに、とある架空のビジネス活動を例に、どんな仕訳になるかを考えてみたいと思います。

また、各仕訳に応じて、財務三表も合わせて更新していきますので、そちらも参考にしてください。

それではいってみましょう!

このブログはこんなブログ
このブログは「グローバル×会計専門性」を目指す人を対象に、「米国公認会計士の魅力やキャリア情報、及び「グローバル×会計専門性」というキャリアを歩むうえで役に立つノウハウが得られる」というコンセプトで運営しています。
前提知識はゼロかつ初心者向けの記事のため、「グローバル×会計専門性」のキャリアを目指すつもりがない方でも、会計のエッセンスの理解に役立つ記事の執筆を心掛けています。
ご参考にして頂ければ幸いです。

この記事の対象となる方

  • 仕訳について詳しくなりたい人。
  • 簡単な仕訳なら自分でできるようになりたい人。
  • 会計決算にあたっての特別な仕訳(決算仕訳)の概要が知りたい人。
  • 財務三表が日々どのように作られていくのか、数値を追って具体的に知りたい人。

ビジネスの前提

  • かき氷店を新規に開店を計画している。
  • 開店準備として、バイトを1人確保することと、かき氷を作る機械を調達する必要がある。
  • 開店場所として、都内観光地に賃貸で場所を確保する計画である。
  • かき氷を作る材料は、氷とシロップのみである。

仕訳Bootcampのスタート

  • 仕訳①:100出資を受けてビジネスをスタートした。
  • 【仕訳】(Dr.)現金 100 / (Cr.)純資産 100

これはシンプルな仕訳ですね。現金という資産が増えることと、返済不要の資金調達である出資金(=純資産)が増えるため、以上のような仕訳となります。

(現金が増えているので、キャッシュフロー計算書にも同時に記録されます)

なお、財務三表へは以下のように反映されます(これ以降、赤字が各仕訳によって更新された箇所を表しています)。

  • 仕訳②:40を使って氷とシロップを購入した。購入にあたっては後払いとしてもらった。
  • 【仕訳】(Dr.)材料 40 / (Cr.)買掛金 40

材料としての氷とシロップという資産が増え、今回は後払いのため現金が減ったのではなく、買掛金という将来における支払いの義務(=負債)が増えています。よって仕訳は以上の通りです。

  • 仕訳③:現金50を使ってかき氷を作る機械を購入した。
  • 【仕訳】(Dr.)機械 50 / (Cr.)現金 50

機械という資産を取得する(=資産の増加)ために、現金という資産を使っています(=資産の減少)。

(現金が減っているので、キャッシュフロー計算書にも同時に記録されます)

  • 仕訳④:お店を構えるため、賃貸契約を締結した。その際、敷金を10払った。
  • 【仕訳】(Dr.)敷金 10 / (Cr.)現金 10

契約を締結した時点では敷金しか費用が掛かっていないので、敷金(=資産)の増加と現金(=資産)の減少を記録します。なお、敷金は後程返還されるので、資産であると考えられます。

(現金が減っているので、キャッシュフロー計算書にも同時に記録されます)

  • 仕訳⑤:出店に備え、バイトを一人雇った。
  • 【仕訳】なし

雇用契約を締結した時点では費用の発生もなく、資産・負債の増減もないため仕訳なしです。

  • 仕訳⑥:営業を開始した。初日の売上は40であった(現金売上)。使用した材料は20であった。
  • 【仕訳①】(Dr.)現金 40 / (Cr.)売上 40
  • 【仕訳②】(Dr.)売上原価 20 / (Cr.)材料 20

2つに仕訳を分けて考えると理解しやすいです。

一つ目はかき氷の販売によって現金と売上が増加する、という側面。

もう一つはこの売上を上げるために、氷とシロップ(材料)を消費(=資産の減少)し、それが売上の原価(=費用の増加)となっている、という側面。

この二つの仕訳が同時に発生していると考えます。

(現金が増えているので、キャッシュフロー計算書にも同時に記録されます)

  • 仕訳⑦:売上が順調に上がりそうなので、更なるビジネス拡大のため、銀行から300借り入れた。
  • 【仕訳】(Dr.)現金 300 / (Cr.)借入金 300

借入金増加により現金(=資産)の増加と、負債の増加を記録します。

(現金が増えているので、キャッシュフロー計算書にも同時に記録されます)

  • 仕訳⑧:銀行からの借入金で、氷とシロップを300追加で仕入れた。
  • 【仕訳】(Dr.)材料 300 / (Cr.)現金 300

こちらは前出した仕訳と考え方は同じですので、詳細は割愛します。

※なお、以降のキャッシュフロー計算書については、営業資産・営業負債の増減を通じた現金の増減については、詳細は割愛し簡便的に「売上」または「費用」の部分に含めて表示しています。

  • 仕訳⑨:あるイベントでかき氷の大量発注(500)があり、売り上げはすべて掛けで後払いという条件であった。売上に関して材料費は250消費した。
  • 【仕訳①】(Dr.)売掛金 500 / (Cr.)売上 500
  • 【仕訳②】(Dr.)売上原価 250 / (Cr.)材料 250

こちらも前出した仕訳と考え方は同じです。一方、今回は現金による売上ではなく、掛けによる売上なので、売掛金という資産が増加しています。

  • 仕訳⑩:掛けとなっていた材料費の一部30を支払った。
  • 【仕訳】(Dr.)買掛金 30 / (Cr.)現金 30

後払いとしていた材料代30を現金で支払ったという取引のため、現金(=資産)の減少と買掛金(=負債)の減少を記録します。

(現金が減っているので、キャッシュフロー計算書にも同時に記録されます)

  • 仕訳⑪:火災保険に加入した。年間5の保険料がかかる火災保険を5年間加入した。保険料は一括で25現金で支払った。
  • 【仕訳①】(Dr.)火災保険料(=販売費及び一般管理費) 5 / (Cr.)現金 5
  • 【仕訳②】(Dr.)前払費用 20 / (Cr.)現金 20

少々トリッキーな仕訳です。まず今年の費用である5と、来年以降4年間の保険料合計である20を別々に考えます。

仕訳①にて今年の費用分は今年の費用(ここでは販売費及び一般管理費)として処理をします。費用の増加と現金(=資産)の減少です。

仕訳②にて、来年以降の費用については、前もって支払った費用(つまり、前払費用)として処理します。前もって支払ったお金は、保険会社に預けているようなものなので、預かってもらっているお金は資産です。従って前払費用(=資産)の増加と現金(=資産)の減少を記録します。

(現金が減っているので、キャッシュフロー計算書にも同時に記録されます)

  • 仕訳⑫:大量発注の売上のうち、半分の250について入金があった。
  • 【仕訳】(Dr.)現金 250 / (Cr.)売掛金 250

現金(=資産)の増加と売掛金(=資産)の減少を記録します。

(現金が増えているので、キャッシュフロー計算書にも同時に記録されます)

  • 仕訳⑬:バイトにバイト代100、店舗の家賃80を支払った。
  • 【仕訳】(Dr.)売上原価 100、販売費及び一般管理費 80 / (Cr.)現金 180

費用の増加と現金(=資産)の減少を記録します。

なお、バイトの人件費は売上を上げるための直接的な経費と考えられるため、売上原価に属します。一方、家賃は販売費及び一般管理費として処理をしています。

(現金が減っているので、キャッシュフロー計算書にも同時に記録されます)

  • 仕訳⑭:銀行に金利を15支払った。
  • 【仕訳】(Dr.)営業外費用 15 / (Cr.)現金 15

支払金利は費用なので、費用の増加と現金(=資産)の減少を記録します。

ただし、支払利息は(借金をしなくとも、例えば出資金で調達してもよいので本業で必要な費用とは考えられず、従って営業外の費用と考えられるため)営業外の費用であるとに注目します。

(現金が減っているので、キャッシュフロー計算書にも同時に記録されます)

  • 仕訳⑮:店舗に保管していた氷50が、管理不足のため溶けてなくなってしまった。
  • 【仕訳】(Dr.)特別損失 50 / (Cr.)材料 50

材料がなくなってしまったので、まず材料(=資産)の減少を記録します。

一方で、このような事象についてはめったに発生するものではなく、特別に生じることと考えられるので、特別な費用という意味で「特別損失」という名目に費用の増加を記録します。

決算仕訳

以上のビジネス活動を持って、1年間が経過したので、業績を報告すべく決算をします。

具体的には、会計は「発生主義」で記録するルールなので、すでに発生しているのにも関わらず記録されていないビジネス活動については、「決算仕訳」というもので記録する必要があります。

この「決算仕訳」がどのようなものがあるか、以下の具体例でみていきます。

  • 決算仕訳①:店舗の電気代5の請求書を決算日翌日に受領した。支払いは翌々月末払いでよいとのことであったが、発生主義で仕訳を切ることとする。
  • 【仕訳】(Dr.)販売費及び一般管理費 5 / (Cr.)未払費用 5

決算日までに受領していない請求書ですが、請求書には1年間に使用した電気代の費用が記載されていました。従って、費用は既に発生しているので、費用の増加を記録します。

一方、現金での支払は翌々月末払いでよいとのことなので、現金の減少はありません。しかし、支払いの義務はありますので、負債と考えられます。よって負債(ここでは未払費用)の増加を記録します。

  • 決算仕訳②:かき氷の機械50は5年が平均使用年数であるため、発生主義で1年分の費用10を計上する。
  • 【仕訳】(Dr.)減価償却費(=売上原価) 10 / (Cr.)減価償却累計額 10

決算仕訳の代表例、減価償却費の登場です。

会計は期間区分の原則があり、1年間に期間を区切って業績を報告します。ただし、企業活動は継続する前提です。

かき氷の機械は5年間使用可能であり、このビジネスはずっと継続する前提(=機械を5年間使い続ける前提)であるため、購入代金は5年間に渡って使われる(=5年間に渡って費用化する)と考えられます。

従って、購入1年目の今年は1年分を費用化し、購入代金50のうち10が今年の費用としてカウントされます。会計の世界ではこれを「減価償却費」と呼びます。

※今回この機械は売上を増加させるために直接的に関係する費用なので、この減価償却費は売上原価として記録します。

また、機械を1年間使ったので機械(=資産)の価値は1年分減少していますので、資産の減少も合わせて記録します。

記録上、機械50を直接10減少させ、40としてもよいのですが、会計の世界では「減価償却費累計額」としてマイナス10の資産としてよく記録されます。

(機械50と減価償却累計額のマイナス10を合計した40が機械の価値となります)

  • 決算仕訳③:1年間の利益に対して、適用された法人税率40%マイナス法人税の調整分10%で税金費用を計上した。法人税の調整分は繰延処理をした。
  • 【仕訳①】(Dr.)法人税等 2 / (Cr.)未払費用 2
  • 【仕訳②】(Dr.)繰延税金資産 0.5 / (Cr.)法人税等調整額 0.5

1年間の活動で得た利益には税金がかかります。通常決算日までに税金の支払が行われないので、決算仕訳として税金がどれだけかかるのか見積もり、記録する必要があります。

例題には難しいことが書いてありますが、簡単です。

まず、最終的な税引前の利益が5であるので、こちらの数値に税金がかかってくることとなります。

よって、法人税率が40%なので、5×0.4=2が税金費用となります。この費用の増加と、将来の支払い義務(=負債)の増加を記録したものが仕訳①です。

法人税率の調整としてマイナス10%、と記載がありますので、こちらを記録したものが仕訳②となります。費用の減少を「法人税等調整額」で記録します。また、この調整は将来の税金支払を軽くする効果があると仮定し、資産として「繰延税金資産」を記録します。

※税金は複雑なトピックなので、このような仕訳になるのか、という程度の理解で大丈夫かと思います。

最終的な財務三表

これまでの仕訳をすべて反映した、最終的な財務三表は以下の通りです。

財務三表については、以下がポイントになります。

  • 貸借対照表の右側と左側の合計数値は420.5で同じ(バランスしている)
  • 損益計算書の一番下の当期純利益3.5は、株主に帰属しかつ返済不要の純資産であるため、貸借対照表の純資産を増加させている
  • キャッシュフロー計算書の現金残高80は貸借対照表の現金残高80と一致し、内訳として営業(-260)・投資(-60)・財務(+400)からのキャッシュフローを表示している。

来年度へ向けての最終決算仕訳

最後に、来年度のため、損益計算書の数値をすべて0にし、利益剰余金に振り替える処理をします。

そうしないと、来年の損益計算書が単年ではなく2年分の数値を含むことになってしまいますので。

  • 決算仕訳④:来年に備え、損益計算書の数値をすべて初期化し、当期純利益は利益剰余金に振り替えた。
  • 【仕訳】(Dr.)当期純利益(※) 3.5 / (Cr.)利益剰余金 3.5

(※)詳細に記載すると、以下のような仕訳になります。

  • (Dr.)売上高 540、法人税等調整額 0.5
  • (Cr.)売上原価 380、販売費及び一般管理費 90、営業外費用 15、特別損失 50、法人税等 2、利益剰余金 3.5(差額)

補足:キャッシュフロー計算書の作成方法について

今回キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローについては、毎回の現金の増減を基に直接的に計算しましたが、貸借対照表と損益計算書から間接的に作成することも可能です(これを「間接法」といいます)。

左側が間接法で計算したものです。

間接法の簡潔なルールとしては以下の通りです。

  • まず、損益計算書の当期純利益からスタート
  • 損益計算書の中で、現金が減らない費用を足し戻す(今回、減価償却費は費用であり当期純利益の計算には含まれているが、現金の支出はないためキャッシュフローの観点からは除外)。
  • 貸借対照表の中で、営業資産の増減を考慮する。営業資産が増えた場合は、現金のマイナスとして処理。(営業資産が増えたということは、現金が形を変えている(=現金を使って営業資産を獲得した)ので、実際に現金は減っているため)。
  • 営業負債が増えた場合は、現金のプラスとして処理(営業負債が増えたということは、現金を使わずに済んでいるということなので、実際に現金は減っていないため)。

以上となります。お疲れ様でした。

Vi ses!

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