God dag!Lone Wolf会計士です。
今回は複式簿記について触れておこうと思います。複式簿記に関する知識はゼロ、という前提で解説していきます。
複式簿記って、借方とか貸方とかいう、とってもわかりにくいやつでしょ…
はい、そのような認識をお持ちであるかもしれませんが、実はめちゃくちゃ簡単なんです。
複式簿記の考え方を理解しておくと、会計全般や財務三表がどのように作られているかについて理解が深まりますので、知っておいて損はないと思います。
それではいってみましょう。
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このブログは「グローバル×会計専門性」を目指す人を対象に、「米国公認会計士の魅力やキャリア情報、及び「グローバル×会計専門性」というキャリアを歩むうえで役に立つノウハウが得られる」というコンセプトで運営しています。
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ご参考にして頂ければ幸いです。
複式簿記とは?
ざっくりとした理解で大丈夫なので、まず複式簿記とは何かを簡単に説明したいと思います。
複式簿記とは、あるビジネス活動結果の記録をつけるときに、どうせならなるべく多くの情報を記録したいので「借方」「貸方」というツールを利用して記録を取ります、ということです。
つまり、複式簿記はビジネス活動を多面的に捉えるツール、と理解いただいて概ね問題ないと思います。
なお、「借方」「貸方」というツールを利用して記録を取ることを、会計用語では「仕訳を切る」といいます。
ざっくりと、「借方」「貸方」という2つの側面から会計の記録を取る、ということだね。
なお、「借方」「貸方」という用語自体の意味をあまり深く考えないこともポイントです。
では、「借方」「貸方」というツールを利用して記録を取る、とはどういうことか?
例えば、現金100円を払って自社の商品について広告宣伝をしてもらうとします。
複式簿記を利用すると、以下のような仕訳を切ることとなります。
- (Dr.)広告宣伝費 100円 / (Cr.) 現金 100円
複式簿記を実践することで、「現金を使ったので現金が減った」ということに加えて「広告宣伝費に100円使用した」ということが一度に記録できるようになります。
複式簿記の反対用語として「単式簿記」というものがありますが、単式簿記の場合、例えば、現金の増減しか記録しない(上の例でいうと、現金が100円減った、しか記録しない)ため、現金が増減した理由(現金の使途・現金が減少した理由)が抜けてしまいます。
ところで、(Dr.) (Cr.)って初めてみたけど、何を意味しているの?
(Dr.) = Debit, (Cr.) = Creditであり、Debit = 借方、Credit = 貸方の英語訳です。
個人的な意見や経験に基づく考えですが、会計が理解できない一番の原因は、この「借方」「貸方」という用語だと考えています。
ということで、「借方」「貸方」という用語とは金輪際絶縁してください!笑
「借方」「貸方」という用語そのものは、使われている漢字をみても、「借りてきたら借方に記録」「貸した場合は貸方に記録」、とか直感的に感じてしまいますよね。
ところが、銀行から10,000円借りた場合の正しい仕訳は以下の通りです。
(借方)現金 10,000円 / (貸方) 借入金 10,000円
あれ、銀行に「借りてきた」のに、借りてきたお金は「貸方」に記録されているね…
そうなんです。
重要なので繰り返しますが、理解のため、「借方」「貸方」という用語自体に深い意味はない、と解釈してください。ただの記号、と考えてください。
「借方」「貸方」という用語が混乱の元なので、声を大にして言いたいのですが、複式簿記の概念を理解するときは「借方」「貸方」という用語ではなく、「Debit」「Credit」という用語を使うようにしましょう。
Debit/Creditの概念
先に結論です。
貸借対照表:
- 資産が増えたらDebitに記録、 負債と純資産が増えたらCreditに記録。
- 資産が減ったらCreditに記録、負債と純資産が減ったらDebitに記録。
損益計算書:
- 費用が増えたらDebitに記録、 売上が増えたらCreditに記録。
- 費用が減ったらCreditに記録、売上が減ったらDebitに記録。
Debit→デビットカード→資産
Credit→クレジットカード→負債 と覚えれば簡単だね!
複式簿記 - 貸借対照表
さて、DebitとCreditの概念ですが、簡単です。以下の表ですべて説明されています。前回も登場しました貸借対照表です。
本当に、基本はこれだけです。
貸借対照表の左側にある資産はDebitに所属、右側にある負債と純資産はCreditに所属しています。
したがって、
- 資産が増えたらDebitに記録、負債と純資産が増えたらCreditに記録。
反対もまた正で、
- 資産が減ったらCreditに記録、負債と純資産が減ったらDebitに記録。
はい、貸借対照表の複式簿記はこれだけです。
え、、、とっても簡単なんだね。
複式簿記 - 損益計算書
合わせて損益計算書についても触れますが、上述した貸借対照表の基本をマスターしていれば大したことありません。
前回説明しました通り、損益計算書は1年間のビジネスの結果の累積であり、年間を通じた最終的な利益は貸借対照表の純資産のうち、利益剰余金に振り替えられます。
念の為、財務三表についての記事のリンクを以下に貼っておきます。
よって、利益が増えると純資産は増える、という関係があるのです。
一方、利益は、「利益=売上ー費用」で計算されます。
従って、売上が増えると(費用を不変とすると利益が増えるため)純資産が増え、費用が増えると(売上が不変とすると利益が減るため)純資産が減ることとなります。
貸借対照表に戻って、純資産が増えるとCreditに記録、でしたよね?
はい、結果として以下の通りとなります。
- 売上が増加したらCreditに記録、費用が増加したらDebitに記録。
反対もまた正で、
- 売上が減少したらDebitに記録、費用が減少したらCreditに記録。
複式簿記の登場人物は「資産」「負債」「純資産」「売上」「費用」の5つです。
以下にその関係をまとめておきます。
仕訳の例題
一応、理解の促進のため、仕訳の例題をいくつか挙げておきます。
- 例題①:株主から投資が100あり、ビジネスをスタートさせた。
これは単純ですね。株主からお金を調達し、将来返却しなくてよい自己資本(=純資産)が増えると同時に、現金(=資産)も増えます。
資産が増えたらDebit、純資産が増えたらCreditに記録、でしたよね。よって仕訳は以下の通りです。
- (Dr.) 現金 100 / (Cr.) 資本金 100
- 例題②:トヨタ株100株を200で購入。半年後、株価上昇に伴い300で売却できた。
一般的にあまり本業とは関係ない株式投資な気がしますが、頭の体操のため仕訳を考えてみましょう。
まず、トヨタ株を購入していますので、トヨタ株という資産が増えていますね。一方現金で購入しているので、現金という資産は減っています。よって、増えた資産をDebitに、減った資産をCreditに記録します。
- (Dr.) 有価証券 200 / (Cr.) 現金 200
購入時点ではまだ利益も損失も発生していないので、以上で仕訳は終わりです。(会計は発生主義に基づいているので、この時点では記録しません)
半年後の売却時はどうでしょうか?
200で購入したものを300で売却できているので、100儲かっています(=売却益が100発生しています)。この売却益は純資産を増加させるので、Creditに記録します。
一方で、売却によりトヨタ株100株(200で購入済)がなくなり(=資産の減少)、対価として現金を300受領します(=資産の増加)。
仕訳にまとめると以下の通りです。
- (Dr.) 現金 300 / (Cr.) 有価証券 200、有価証券売却益 100
- 例題③:銀行から100借入れて、半年後金利を3支払った。1年後金利3と共に元本を全額返済した。
まず借入時について考えます。銀行からお金を借りると現金(=資産)が増えますのでDebitに、借入金(=負債)が増えますので、Creditに記録します。
- (Dr.) 現金 100 / (Cr.) 借入金 100
では半年後の金利支払時はどうでしょうか?
金利は費用で、費用が増加する(=純資産を減少させる)のでDebitに記録。支払いにあたって現金(=資産)が減少するのでCreditに記録。
- (Dr.) 支払金利 3 / (Cr.) 現金 3
最後に、1年後の金利支払い&借入金返済時はどうでしょうか?
借入金返済により負債が減るのでDebitに、金利支払いは費用を増加させる(=純資産を減少させる)のでDebitに、返済により現金(=資産)が減るのでCreditに、それぞれ記録します。
- (Dr.) 支払金利 3、借入金 100 / (Cr.) 現金 103
あれ、すべての仕訳において、DebitとCreditの合計額は一致しているね…
その通り、良いところに気が付きましたね。複式簿記上必ずDebitとCreditが一致するということは覚えておいてください。
以上で複式簿記&仕訳の基本は終わりです。本当にこれだけ覚えればあとはいくらでも応用が効きます。簡単でしょう??
より仕訳について詳細を知りたい方向けに、「仕訳Bootcamp」として記事を投稿していますので、そちらも参考に見てみてくださいね。
今回はこのあたりで。Vi ses!
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