God dag!Lone Wolf会計士です。
さて、普通の日本人で普通のサラリーマンが米国公認会計士の資格を取るとどうなるのか?について、自身の経験を基にできる限り詳しく解説していきたいと思います。
「グローバル×専門性」というキャリアを歩んでいきたい方の参考になれば幸いです。
それではいってみましょう!
このブログはこんなブログ
このブログは「グローバル×会計専門性」を目指す人を対象に、「米国公認会計士の魅力やキャリア情報、及び「グローバル×会計専門性」というキャリアを歩むうえで役に立つノウハウが得られる」というコンセプトで運営しています。
前提知識はゼロかつ初心者向けの記事のため、「グローバル×会計専門性」のキャリアを目指すつもりがない方でも、会計のエッセンスの理解に役立つ記事の執筆を心掛けています。
ご参考にして頂ければ幸いです。
米国公認会計士とは?
そもそもまずは米国公認会計士とは何でしょうか。
公認会計士は英語でCPA=Certified Public Accountantと呼ばれています。
CPAは一定の要件を満たした後、試験受講・合格し、さらに一定の職務経験を経た人が認定される、会計の専門職です。
米国公認会計士は、アメリカでのCPA、ということです。
CPAは各国で個別に認定されます。すなわち、各国で試験や要件が様々に決められています。例えば、日本で公認会計士とすると、日本独自の試験や要件がある、ということです。
CPAの中でもアメリカのCPAを米国公認会計士、特に日本ではUSCPAと呼んでいたりします。
日本の公認会計士資格は対比して「JCPA」と呼んでいる人もいるよね
なお、米国公認会計士の資格を取ると、米国公認会計士しか認められていない業務(アメリカでの会計監査業務)の責任者になることができるようになります。
米国公認会計士になるためには?
米国公認会計士になるための手順を簡単に説明すると以下の通りです。
- ①受験資格を満たす。受験資格(主に大学の会計関連単位)は州によってまちまち。
- ②英語の試験4科目(マークシート+一部論述)に合格する。試験4科目はAUD(監査論)、REG(法律・税務)、FAR(財務会計・公会計)と選択科目1科目の4科目。
- ③一定期間の実務経験を経る(州単位で実務要件が異なる)。実務要件が満たされれば免許が付与される。
以下の記事に米国公認会計士と日本の公認会計士試験の違い等を記載していますので、ご参考としてください。
米国公認会計士を取得するまでの時間は?
米国公認会計士の資格取得までどれほどかかるのか?については、人によってまちまちです。
米国公認会計士の資格を取得するためには、最初の科目を受験してから18ヶ月以内に4科目すべてに合格しなければならないため、18ヶ月+α(最初の科目の勉強期間)が一つの目安になりますね。
18ヶ月の間は、何度も受験することができます(もちろん、毎回受験料がかかりますが)。
具体的な勉強時間でいうと、1,200時間~1,500時間とされていることが多いようです。
USCPAの資格取得に必要な勉強時間は、一般的に1,200~1,500時間といわれています。 1日の勉強時間を5時間とした場合、1週間あたりの勉強時間は35時間になります。
USCPA(米国公認会計士)の難易度、合格率や勉強時間など解説!|アビタスコラム|USCPA(米国公認会計士)予備校|合格実績ならアビタス/Abitus
ただし、事前の会計の知識の有無や英語能力によっても、必要な勉強時間は変わってきます。
アメリカ人が受験する場合、アメリカの英語のブログだと500時間ぐらい、と紹介されている記事もあります。
日本人が受験する場合、早い人だとゼロから勉強を始めてから1年ほどで4科目すべて合格する人もいます。
ただし、この期間は4科目の試験を合格するのにかかる時間です。
受験するために、州によって受験要件が異なりますので、追加の会計単位を取得しなければならない、というような人は、受験資格を得るために追加で時間がかかりますので、この点は注意です。
なお、筆者の経験からいうと、ゼロから4科目すべてに合格するまでは1年4ヵ月ほど、トータルの勉強時間でいうと1,000時間は少なくとも勉強したように記憶しています。
米国公認会計士試験に合格するまでの費用は?
独学で勉強をしてもよいかとは思いますが、米国公認会計士試験に特化した予備校に通うことが結局は一番効率的だと思います。
参考までに、私が昔通ったアビタスの米国公認会計士試験コースでは、現在60万円程度の費用がかかるようです。
アビタス スタンダードプラン 616,300円~
USCPA(米国公認会計士)プログラム費用(受講料など) |アビタス/Abitus
また試験を受験するためには、試験を何回受けるか(何回落ちるか)によりますが、30万以上は見込んでおいた方がよいでしょう。
米国公認会計士資格を得るためには、大体100万円以上を目安として費用は見込んでべきかと思います。
なお、私が受験した頃、アビタスの米国公認会計士試験コースは教育訓練給付制度の対象になっていてかつ個人的に給付の条件をクリアしていたので、ハローワークで申請しいくらかの補助がありましたので、申し添えておきます。
普通のサラリーマンが米国公認会計士を取得したらどうなるのか?
米国公認会計士は会計の専門職としての証となり得ます。資格の有無によって周囲からの目線も変わります。
一方、普通のサラリーマンは、日本では転勤・異動を繰り返してジェネラリストを目指すことが一般的なキャリアパスとして根付いています。
よって、米国公認会計士の資格をより活かすために、サラリーマンとしてのキャリアではなく、会計専門家としてのキャリアへキャリアチェンジしていくことが一般的です。
もちろん、会計の専門職といっても分野は幅広いです。どの分野の専門となるかは人それぞれですが、普通のサラリーマンが米国公認会計士の資格を取ると、専門性を磨くキャリアを選択していくこととなるかと思います。
専門家として活躍することの魅力
勉強に対する労力、費やす時間、100万以上の経済的な負担をかける見返りとして、専門家としてのキャリアチェンジを果たすことは、一般人にとって非常に魅力的であると声を大にして言いたいです。
私の中で専門職キャリアの一番のメリットを一言でまとめると、人生における主権を取り戻すことができる、ということです。
サラリーマン時代は、すべてが誰でもできるように標準化された世界の中の歯車の一員でした。
システムや業務内容もその会社に特化しており、つぶしが効かなく、他社でも通用する明確なスキルは得られませんでした。
転勤も当たり前。勤務地が会社に決められますので、住む場所も制限がかかります。
自分の出身地やパートナーの状況も考慮されずに、働く場所が決められます。
「家を買ったら転勤となっちゃって当分住めなかったんだよね」と自慢げにエピソードを話す上司もいます。
上司が飲み会に誘ってきたら、基本は参加必須(強制)。「サラリーマンたるもの飲み会は断っちゃだめ」という謎の文化。
そんな状況を受け入れ、それでも会社に奉公することがサラリーマンだと教育を受けます。
社内政治や出世レースに勤しむ上司・同僚。パワハラ体質。
軍隊のように朝決まった時間に出社し、電車が1分でも遅れようものなら上司に遅刻の電話をかけなければならない、これまた謎文化(1分ぐらいいいでしょ…)。
そして、スキルが溜まらずに年を重ね、転職もできなくなる。結果会社にしがみつくしかなくなってしまいます。
このように、人生の主導権を会社にゆだねてしまうのが、日本の伝統的なサラリーマンの姿かと思いますし、実際に筆者もこのようなサラリーマンでした。
もちろん、会社によって文化の差はあると思いますが、言わんとすることはご理解頂けるかと思います。
一転して、会計の専門家としてのキャリアを歩み始めると、がらりと景色が変わります。
- 他社でも通用するポータブルなスキルが身に付く
- 会計分野はすべての会社に存在するので、一つの会社にしがみつく必要がなくなる=嫌なことがあっても辞めることができる強さがつく
- 一部の人しかできない専門分野があると、専門家枠で採用され、社内の見る目や扱いが変わる=頼られるし、任されるし、ある種の敬意を持たれるのでパワハラもされなくなる
- 強制的な飲み会は激減する=断って裏で誰に何を言われても平気になる強さが手に入る
- 働く時間が柔軟になるし、働き方がゆるくなる=専門性が高くなるほど周りから働く場所や時間に干渉されなくなる
- グローバル×専門性というキャリアの軸があればあるほど、競合相手が少なくなり転職先に困らない
- (ある程度のポジションに昇進するまでは)プロジェクト毎で上司が変わるので、固定上司がいない=上司ガチャに対するリスクヘッジとなる
- 特に、日本においてはグローバルという目線、英語というスキルを持っているだけで、かなりの差別化要因となる
- 新卒で何もスキルがなく採用とならなかった大手有名企業においても、専門家枠として入社するチャンスが増える
- 本質的にリモートワークに適している仕事内容なので、住む場所の制限が少なくなる。むしろ日本にこだわる必要すらなくなる
- 海外で働くチャンスが大きく増える=サラリーマンであれば海外赴任は運次第・期間の制限があるが、専門職キャリアにおいては、自分のスキルを持って好きな都市で働けるようになる。また当然日本に紐付き海外赴任でもないため、期限の制限がなく自分次第。
- 培った専門性を活かして、独立することも可能となる
- (キャリアチェンジ前の業界や職種・ポジションによりますが)給料は間違いなくアップする
筆者の例でいうと、北海道に引っ越してリモートワークも経験できましたし、自分の意思で欧州に移住することもできました。北海道の自然や欧州の働きやすさは相当魅力的ですよ!
・・・ということでみなさま米国公認会計士資格を取り、専門職キャリアを歩みしょう!笑
専門職キャリアを選択する際の注意点
専門家としてのキャリア、と聞くとなんとなく響きはいいですが、ここで注意しなくてはならない3つの点があります。
一つ目は、それまでのサラリーマンとしてのキャリアは専門職としてのキャリアとしてカウントされない(ゼロにリセットされてしまう)ということ。
例えば、専門職として働く前にサラリーマンとして2年間のキャリア経験があったとしても、(その企業がたとえどんなに大手で有名企業であっても)その2年間はキャンセル処理され、専門職1年生として再出発となります。
よって、米国公認会計士資格を取ってキャリアチェンジをする、という選択を取る場合は、若ければ若いほど良いことになります。
逆に専門職キャリアを歩む選択をしたのであれば、専門職キャリアを歩む前のキャリアについてはあきらめ、前にどんなに頑張っていたとしても認められない事実を受け入れるべきです。
また、専門職一択で大学生から会計の勉強をしてきた人たちと同じ土俵に上げられ同じ扱いを受けるため、精神的にきついので、この点も覚悟しておかなければなりません。
二つ目は、「結局は雇われの身」であるとのことです。
どういうことかというと、専門職としてのキャリアは、独立しない限りはつまるところ、会計関連の専門的なサービスを提供している会計事務所に転職・雇用されて、そこでサラリーマンとして働く、というキャリアです。
会計事務所ではなく、一般の事業会社に専門家枠で雇われる場合も、サラリーマンに違いはないです。
公認会計士の資格を取得すると、国家のお墨付きを得て気が大きくなる人も多いですが、結局はサラリーマンなのです。
専門職キャリアを歩むことで自分の武器がわかりやすくなるし、他社においても通用するポータブルなスキルは身に付きますが、雇われの身であることには変わりません。
この点で、専門職キャリアを歩んでいるからといって天狗になったり、(専門職キャリアを歩む前の)普通のサラリーマンを見下したりしたら終わりです。
謙虚さはいつまでも持っていたいものです。
三つ目は、試験合格後も継続的な勉強が必要となることです。
専門的な分野を仕事の対象としているため、世の中の情報やその分野の最新動向は常に把握しておく必要があります。
お金を頂くわけですから、専門家として十分な知識量を持っていないといけません。
そのためには情報のキャッチアップやブラッシュアップが欠かせません。
米国公認会計士の資格維持のための最低限のノルマはありますが、それ以上の勉強が必要です。
よって、試験に合格したら終わりではなく、むしろ試験に合格し専門職キャリアを選択してからの方が継続的な勉強が必要、といえるかもしれません。
米国公認会計士資格を取ることのメリット・デメリットまとめ
さて、筆者が考える、普通のサラリーマンが米国公認会計士を取得するメリットとデメリットを以下にまとめておきます。
【メリット】
- 働いている会社でしか通用しないクローズドなスキルではなく、どの会社でも通用するスキルが身に付く
- 人生の主導権を会社ではなく自分に取り戻すことができる
- 給料がアップする
- 転職が容易になる。新卒採用で手が届かない有名企業にも専門家としての入り口があるので、チャンスがある
- 海外で働けるチャンスが増える
- 独立できるチャンスが増える
- 働く場所や時間が柔軟になる
- 上司の当たりはずれに左右されない働き方ができる
【デメリット】
- 余計な経済的な負担がある
- 勉強が長期間に渡りしんどい
- (働きながら仕事をする場合)勉強時間の確保が難しく、また勉強をしているため仕事に100%注力できなくなる
- 勉強している期間は社交性も下がる(友達と気軽に遊びにいけない)
- 専門職キャリアに転職すると、転職前の実績はゼロとなる
- ある程度の年齢を重ねた後専門職キャリアを選択すると、周りに若い人に囲まれるため、別の意味でしんどい
- 専門家として働くという性質から、常に最新の情報や知識をアップデートしていく必要があり、継続的な学習が必要となる
今回は米国公認会計士資格を取ることについて、自身の経験を基に記事を書きました。
それでは今回はこの辺で。
Vi ses nästa gång!
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